演出家インタビュー

冬の始まりとともに上演するクリム=カルム「オイディプス=罪名」

≪一つの戯曲を二つの演出で上演≫、≪キャストは5人の女優のみ≫、ちょっぴり前衛的な試み、その真相とは。


ーークリム=カルムとは?

クリム=カルムは古典を上演する団体です。

といっても原作をそのままやるというわけではありません。私たちが行っていることは、古典戯曲が本来持っていたであろう斬新な挑戦を再現する試みです。


ーー古典をアレンジすることについて

執筆時から時は流れ、私たちの価値観もだいぶ変わっています。なので当時をそのまま再現してもその時あった斬新な衝撃は再現出来ないと思うんです。今の私たちにフィットさせるアレンジは必要かなと。

あ、でも新作じゃないです、やっぱり。

クリム=カルムが再現したいのは作家の挑戦する心で、そのために少し発展させるという感覚です。


ーー今回はなぜギリシャ悲劇を?

オイディプス王には、劇的なるものが全部詰まっています。勘違い、裏切り、恋、謎…、普遍的なテーマですよね、現代でもやる価値はあります。

ひとつ気になるのは預言者によってもたらされる«神託»が物語のキーになっている点です。今の私たちの感性では受け入れ難いものがあります。

しかしその一点さえクリア出来れば、十分に通用するし、その課題には新作を生み出すことと同等の価値とやりがいがあります。


ーー演出としての挑戦とは?

一言でいうと«受け継いで、超える»ですね。
当時のスタイルでは3人の仮面をつけた俳優が何役もやっていて、別にアンサンブルが居た。
今回、俳優は特定の役を持ちません。全役を交代に演じていく。それが客席を挟んで二面それぞれ行われるというスタイルです。観客は後方から聞こえてくるセリフはアンサンブル、つまり民衆の声として聞こえます。これはどちらを向いていてもそう聞こえます、が、進行している物語は異なっています。こればかりはご覧頂かないと伝わりませんね(笑)

俳優はメイン役でありつつ、同時にもう一方の客席にとってのコロス(民衆)をも演じます。


ーーそんなことが可能なのでしょうか?

ええ、あくまで応用ですから。仮面の役割を俳優の入れ替えで成立させるというのは柴幸男さんが「あゆみ」で既に行ったことですし、セリフで音楽的な要素を出すこともやっていますよね。

それと、これは全役を二人一役で演じているようなものなんですが、それも宮城聰さんが確立させています。

偉大な先人たちの功績をお借りして、もっと演劇観を拡張出来ればいいなーって思っています。まあ、どこまでいけるかは、上演日にしか分かりません(笑)


ーー「オイディプス=罪名」はおもしろいですか?

知的好奇心を揺るがすという意味では凄くおもしろいです。「デザインあ」とかTEDカンファレンスみたいなおもしろさです。
勧善懲悪→カタルシスってことだと少し違うのかもしれませんね。
プレゼントは用意してあります。

ーープレゼント?

はい、3つの観方のことです。
まずは、目の前の舞台に集中する観方です。慣れてくるまで後ろから聞こえてるものはある程度聞き流しちゃっても大丈夫です。それぞれの物語、合計2パターンのオイディプス王がしっかり味わえます。

次に、見終わったあと後ろの声を思い出して想像を膨らませてみてください。目の前で起こった物語が変化していくことでしょう。

最後に、通算3回目に観に来る方は、思い切って目をつぶって聴いて楽しむことをおすすめします。原作ままのオイディプス王の物語が楽しめるはずです。

ーーえっと、2回目ですが…、本当にそんなことが可能なのでしょうか?

基本的には原作のままですから、聴いて楽しめます。そして、同じ内容なんだけど、人間は目で見た情報にかなり騙されるものですからまた違って見えてくるということなんですが…、ぜひご来場頂いて確かめてくだされば。

オイディプス王が真実を捜し求め、目を潰す物語を、新宿 眼科画廊にて行います。
目と耳、そして脳を刺激する演劇をご堪能あれ。
sola


公演特設サイト→ https://oedipus.themedia.jp

2018年11月30日(金)~12月5日(水)まで。

クリム=カルム - théâtrale du crime=calme -

「かわいい」×「古典」をコンセプトに新宿発の舞台芸術作品を創るクリエイションチーム、クリム=カルムの公式ホームページです。