劇作家・西荻小虎インタビュー

謎が謎を呼ぶ、舞台「オイディプス=罪名」の脚本構成を担当した西荻小虎。

硬質な身体表現を得意とする舞台俳優でありながら、やわらかな感性と激しい衝動が運命を突き動かす戯曲を書き上げる孤高の奇才が描く「オイディプス王」について。


ーーギリシャ悲劇オイディプス王に思い入れがあるそうですが?

20代の頃、王が目を突き刺すくだりを延々と稽古したことがあって。

あとは、エレクトラも上演したことがあるね。


ーーそれも新宿ですよね?

ああ、そうだね。エウリピデスのオレステスやエレクトラと、ソフォクレスをくっつけたものだった。


ーー今回のキーワードはやはり・・・

神託。

デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)もそうだけど、紀元前の戯曲には神が普通に出てくるから、それを今の感覚に寄せることは避けられない課題かな。

もちろんそのままでもいいんだろうけど、それだと見終わったときに虚構の出来事で終わってしまう気がする。観た人のこれからの人生になにか良い影響を与えたいという欲はあるからね。考え続けたり、ふとした時に思い出して気づく、そんな作品にはしたいと思ってる。そのためにはリアリティっていうか、切実な実感がないとダメかなって。


ーー具体的には?

神託って、まぁ占いとかってことだと思うんだけど、統計学だったり推理だったりするのかなって。やっぱ日本人って神に実感得にくいからさ、人間の努力で得られる技術の方がいいと思うんだよね、どう?

――そうですね(笑)


ーー二つの物語があると聞いていますが?

ひとつは王の葛藤の物語。王と言っても一人の人間だし、観ている人それぞれの物語でもあるかなって思う。

もうひとつは民衆についての物語で、集団心理とかをテーマにした作品。王が不在ってのも特徴かな。


ーー王の不在?

理想の王像みたいのが、それぞれの心の中にあって、ぶつかっちゃうみたいな。


ーーそれって神のことでは?

そうかも。王が居なくなることで神が生まれる、人間が神格化する物語。

でもつまるところ、真実とは何か、目で見えるものと見えないものの価値についての話だから原作と一緒なんじゃないかな。


ーー拡張現実のような演劇って?

今回の演出プランだと、観ているものと聞こえてくるものにズレがあると思うんだよね、で、人間の脳はこれまでの経験からそれを一つのデータとして統合しようと調整しだすから、その調整の仕方でまず感じているものが観客ごとに違ってくると思う。

そして絶対に空白があるから、それを埋めようと想像力を使う、半強制的に。つまり、自分のイメージの力で物語を補完する。観ているものは同じなんだけど、自分だけの物語を創り出す。そういうことじゃないかな。


ーー俳優は大変そうですね

と思うよ(笑)

これがクリム=カルムの平等って精神なんだよね。俳優も演出も他のスタッフも皆、原作を呼んで感じたことをいったん自分の物語に置き換える。それを稽古場で出し合って、一つの作品にまとめる、でもそれは唯一絶対の価値観を持ったストーリーではなくて、互いの物語が思考や身体や音や光を利用しつつ共存する、その共同思念体みたいなのに作品として名前がついてるって感覚。言ってしまえば観客も含めて平等みたいな。

だから与えられた役割だけをこなす俳優だと難しい。俳優自身が感じている物語や言葉が重要だから。そういうことが出来る場って少ないし、楽しめばいいんだよね。


ーークリム=カルムといえばチケットや当日パンフレットが特殊ですが?

楽しんでもらいたいからね。てか、みんなイベントやらサプライズが好きなだけだよ(笑)

毎回大変なんだなーこの手作りが(苦笑)

今回は・・・チケットだけ味を出そうかってなってるけど。

規模が大きいと出来ないから今の内にやれるだけやっておきたいよね、自己満足の為にも(笑)


ーー原作は読んでいった方が良いのでしょうか?

なお楽しめる。気にしないならそれでもOK。

おすすめしないのは、原作はこうなのかなーって想像しながら観ちゃうこと。

今を信じて!ってなる。今、この瞬間、あなたの為だけに演じているんだから!って。

知識があってもなくても楽しめるように創るから、知識が欲しいなーって思いながらは観ちゃダメーっ!


ーー最後に一言お願いします

演劇は他人の価値観に触れる場なんです。創ってる人も観る人も。
人の違いって世界をどう見ているのか、物事をどう感じているか、だと思うんだけど、一番はどう想像するかってことだと思うんだ。未来をどうイメージするか。

演劇はそれに直接触れ合える場だと思うから、創作時も観劇後も遠慮なく話を聞かせてほしいな。



クリム=カルム「オイディプス=罪名」は新宿眼科画廊にて、2018年11/30~12/5まで。

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「オイディプス=罪名」

演出:sola

構成:西荻小虎

原作:ソフォクレス

出演:あいだあかね、臼井汐音、柊みさ都(エーライツ)、福満 佐知子、森本 あお(棗椰子%)

会場:新宿眼科画廊 スペースO(東京都新宿区新宿5-18-11 1F奥)

2018年11月30日~12月5日 全12回

11/30(金)19:00

12/1 (土)11:30~/15:00~/19:00~

12/2 (日)11:30~/15:00~/19:00~

12/3 (月)14:00~/19:00~

12/4 (火)14:00~/19:00~

12/5 (水)14:00~

チケット:前売 3000円  当日 3500円

     観劇ケアチケット 3500円(パーソナルストレッチ施術付き)

STAFF

舞台美術:Xiaolong LAB

ティザーモデル・フライヤーデザイン:長田咲紀

フライヤーモデル:柊みさ都

写真撮影:乃々雅ゆう(幻想芸術集団 Les Miroirs)

制作:後藤由香理(TEAM#BISCO)

製作:犯穏罪団

製作総指揮:péché=mignon・delacroix

協力:社会福祉法人東京都社会福祉協議会 東京善意銀行、棗椰子%、新宿眼科画廊

Special Thanks:竹之内勇輝、たなかちえこ、sakura、小沼枝里子、工藤沙緒梨、高嶋友行、劇団木霊

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未就学児のご入場はご遠慮頂いております。

スタンド花のお届けはご辞退申し上げます。

会場専用の駐車場・駐輪場はございません。

定刻開演し、開演後10分後から入場不可となります。

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クリム=カルム - théâtrale du crime=calme -

「かわいい」×「古典」をコンセプトに新宿発の舞台芸術作品を創るクリエイションチーム、クリム=カルムの公式ホームページです。