次回公演に向けて

2018年12月初頭の「オイディプス=罪名」公演から約半年、ようやく明日には次回公演のご案内が出来る運びとなりました。
実を言えば私solaは昨年の公演後、交通事故に遭い両脚を骨折し、しばらく歩くことが出来なくなっていました。
あまり心配を掛けないように限られた人にだけ連絡をしていたのですが、思いのほかたくさんのお心づかいを頂き、本当にお世話になりました。
居眠り運転の車が歩道に突っ込んで来たので、悪意があったわけでもないし後遺症もないので私としては仕様がないかなと思う一方、他の方でなくて良かったなと心から思っています。私は割と丈夫な方なので。

車椅子から始まり、松葉杖で通院するようになり、普通に歩けるようになりました。スポーツするにはまだまだ掛かりそうですが、

普通に歩ける!

これがなによりもありがたいことです。いや〜普通ってホントに素敵!
今まで何となく車椅子など細々と寄付をしていたのですが、少しでも役になっていたのかなと思ったり…。

今まで、医療の現場・不自由な身体での生活を想像することはあったのですが、そこにいる人達、患者や家族、医療従事者を初めて身近に感じました。
技術を持つこと、情熱を絶やさぬこと、その人たちを支える存在、その大切さを強烈に感じました。
また、街中ではご高齢の方や外国人の方がとても大胆に(!)尽くしてくれ、有難い反面、申し訳なさもありリハビリに励んだのも大切な経験です。

『何の為に行うか』

深く深く考える半年間でもありました。
演劇というものには芸術性と娯楽性の二面性があり、ことビジネスという側面において「誰のために、何の為に」という問いは不毛です。「より多くの人へ、より楽しく」に尽きるからです。
しかし今回の出来事を通して「何の為に」はより重要なキーワードとして私の胸に刻まれることになりました。
作品ごとに変化はするでしょうが、今回の「群盗=滅罪」公演では自由への渇望をテーマに『挫折した人のために』創っていきたいと思います。
人間は万能ではありません。たったひとつのことを成すにも一苦労です。何者にもなれなかったというのも挫折ですが、全ての患者を救いたいと願いつつも救うためには専門医にならなくてはならないというのもある種の挫折です。
人間は不完全ながら、完全でありたいと願うわがままな生き物なのです。そしてまた、挫折することさえ出来ずに消えてしまう命もある…。

挫折、それはぬかるみに残る足跡です。
かつてその先に進もうとした努力の形。
かつて挑んだ人も、かつて逃げ出した人も、その胸には情熱が宿っていたはずです。
形は変わっていても今も尚その炎は、あなたの身体の内で燻っている。
魂を解き放つほどの、嵐と衝動。
そんな演劇を。
迷いや後悔を躊躇わず、踏み出せるように。
美しき魂を持って。

思うように行かない、趣味がない、生きることを諦めそうになる、そんな時に人類の傍にはいつも演劇があった。
これからもきっと。
そのために常に新しく。
古典という知的財産に新鮮な魂を注ぐ。
私たちの演劇はそんなカタチをしています。

2019.5.9 sola

クリム=カルム - théâtrale du crime=calme -

「かわいい」×「古典」をコンセプトに新宿発の舞台芸術作品を創るクリエイションチーム、クリム=カルムの公式ホームページです。